日本における外国人採用の現状と注意点 ~外国人採用担当者のいない企業の外国人採用の実務~|外国人雇用のことなら外国人総研

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日本における外国人採用の現状と注意点 ~外国人採用担当者のいない企業の外国人採用の実務~

国際行政書士 片平法務経営事務所 代表行政書士

片平 勇介(Yusuke Katahira)先生

2017年9月6日発表

 

 

1.はじめに ―外国人採用を打ち出す企業が増加-

昨今の景気回復と企業のグローバル化の加速、そして急速な労働力不足に伴い、様々な業種・分野において外国人採用は打ち出す企業が増加して来ている。

 また、日本国内での外国人留学生採用の採用企業の規模に目を移すと、10億円超の大手企業の採用の他、資本金500万円~1,000万円の企業の採用数も増加傾向となっており、これらの事象を考察すると、もはや外国人採用は、一部のIT企業や大手企業のトレンドではないことが顕著となったように思われる。国内市場の縮小を見据えた中小中堅企業の海外進出戦略とも相俟って、外国人採用の増加は業種や規模の大小を問わない、日本企業全体の傾向となっているのである。

 

 

2.外国人採用時の注意点 ―出入国管理制度-

採用時には、その人材のスキルや適性等を考慮しながら、将来どのように活躍して貰うか等を念頭に置いて採用を検討されると思うのだが、外国人採用の場合は『どのように活躍』させるかを検討する前に、出入国管理制度、所謂、各『在留資格』により『どのような活躍』が出来るかをしっかりと踏まえなければならない。その点を外してしまうと、『在留資格が許可されない』→『日本で働けない』→『採用できない』という結果になりかねないのである。以下、まずは『在留資格』について説明したい。

 

【在留資格とは】

『在留資格』とは、外国籍の方が日本に在留する間、どのような活動を行うことができるかを類型化した入管法上の法的資格である。日本の出入国管理制度は、外国籍の方の日本での在留に関し、在留中の活動の範囲を法律によって具体的に規定する『在留資格』制度をとっており、外国籍の方は、各人に認められた『在留資格』に基づいて日本に在留し、その『在留資格』の規定の範囲内で日本での活動をすることとなる。そして、その規定以外の活動をする為には、在留資格を変更するか資格外活動の許可を取得しなければならないこととなっている。

 

上記は、特に就労系の在留資格で、その可能活動範囲等に注意しなければならないことを意味しているのだが、身分系の在留資格(在留資格『日本人配偶者等』)では、そもそも報酬を伴う活動に対して制限が無いので、上記注意点は緩和されると言ってよい。

 

しかし、企業での外国人採用を考えるにあたっては、やはり就労系の在留資格取得が問題となるケースが大半であるので、以下は就労系の在留資格について言及していきたいと思う。

 

3.各在留資格の取得要件 ―在留資格『技術・人文知識・国際業務』について-

この項では、特に外国人採用の際に取得検討する場面が最も多いと思われる在留資格『技術・人文知識・国際業務』についての取得ポイントを簡潔にお伝えできればと思う。

 

 在留資格『技術・人文知識・国際業務』について

Ⅰ.申請人が自然科学、又は人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事しよう

とする場合 

<理系・文系の知識が必要な職務内容に従事する場合(『技術・人文知識』に該当)>

①大卒若しくは10年以上の実務経験が必要

㋐『大卒』とは短期大学・大学院・大学附属の研究所なども含まれる

㋑『大学と同等以上の教育をうけて』いる場合も本要件はクリアされ、それには短大

以上の教育も含まれるので、高等専門学校の四年次及び五年次の教育も含まれる

②従事する仕事が、人文科学の分野のいずれかに属する学術上の素養を背景とする一定

水準以上の業務であり、大学等の専攻との関連性があることが重要

Ⅱ.申請人が外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事しよ

うとする場合

<言葉の力や外国人特有の感性が必要な職務内容に従事する場合(『国際業務』に該当)>

①広報・宣伝又は海外取引業務・服飾若しくは室内装飾に係るデザイン・商品開発その

他、これらに類似する業務に従事する場合には、3年以上の実務経験が必要

②翻訳・通訳・語学指導という職務内容の場合は、3年以上の実務経験がなくても、例外

的に大卒であれば足りる(『大学』とは短期大学・大学院なども含まれる)

③本人がただ外国人であるというだけでは足りず、当該外国人の持っている思考または

感受性が日本文化の中では育まれないようなものであり、かつ、それがなければでき

ない職務に従事することが重要

※『技術・人文知識』と『国際業務』は一つの在留資格『技・人・国』として取り扱われ

ているが、要件が多少異なる事に注意

 

 その他の要件ついて

Ⓐ雇用形態が安定的・継続的であることが重要

Ⓑ採用企業に安定性及び継続性が認められるか否かが重要

Ⓒ申請人が日本人従業員と同等以上の報酬を受けることが必要

※各要件の『必要』とは基準省令で定められている外せない要件であり、『重要』とは、審

査にかなり当局の裁量が含まれるという違いを意味する

 

 上記要件を踏まえて、就労系在留資格の許可申請を分かりやすく表現すると…

『○○という知識・経験を持っている外国人を、△△という会社で□□というお仕事に

★★という条件で就かせるので、◎◎という在留資格の許可を下さい』という事になるかと思われる。

よって、外国人採用の際には上記○○・△△等の部分が上記要件に合い、在留資格が取得できるかどうかを踏まえて、採用を検討する事が重要であると言える。

 

4.その他の注意点 ―申請の種類等-

 それでは、実際に申請する際の申請の種類についてお伝えしたい。

①留学生の新卒採用の場合→原則働くことが出来ない在留資格『留学』から働く事が出来

る在留資格『技術・人文知識・国際業務』等への『在留資格変更許可申請』をする事に

なる。

②海外からの直接採用の場合→日本へスムーズに招へいする為の手続き『在留資格認定証

明書交付申請』をする事になる。

③外国人の中途採用の場合→前述した『△△という会社で□□というお仕事に★★という

条件で就かせる』部分が異なるので、その部分を審査ための手続き『就労資格証明書交

付申請(義務ではない事に注意)』若しくは、在留期限が近ければ期間を延ばす為の手

続き『在留期間更新許可申請』で上記異なる部分を同時に説明する事となる。また『□

□というお仕事』が、その外国人が取得している在留資格の活動範囲外であれば、『◎◎

という在留資格』の部分が異なってくるので『在留資格変更許可申請』を検討する事と

なる。

 

5.最後に ―不法就労助長罪について―

上記注意点を誤り、在留資格が無い若しくは在留期限を過ぎた外国人を採用して報酬を受ける活動を行わせたり、採用した外国人にその在留資格に応じた活動に属しない報酬を受ける活動を行わせてしまうと、不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法・第七十三条の二)に問われ、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処され、又はこれを併科されるという事態も考えられる。しっかりと上記注意点を踏まえて、意義のある外国人採用を行われることを切に願う。

 

 

【お問い合せ先】

国際行政書士 片平法務経営事務所
入国管理局 申請取次行政書士 片平 勇介

電話03-6908-5129
FAX03-6908-5139
E-mail:info@katahira-office.jp
URL:http://www.katahira-office.jp/

 

 

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